日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツマグロキチョウ」の意味・わかりやすい解説
ツマグロキチョウ
つまぐろきちょう / 褄黒黄蝶
spotless grass yellow
angulated grass yellow
[学] Eurema laeta
昆虫綱鱗翅(りんし)目シロチョウ科に属するチョウ。関東地方以南の本州南西部、四国、九州より南西諸島にかけて分布するが、奄美(あまみ)諸島以南の地域で発見されるものは迷チョウ、あるいは迷チョウによる一時的発生かと思われる。国外では朝鮮半島南部、中国、台湾よりヒマラヤ地域に産し、またフィリピンよりニューギニア島、オーストラリアにわたって東南アジアにも広く分布する。はねの開張37ミリメートル内外。季節的変異が著しく、夏型は小形、秋型は大形となり、秋型では前ばねの外縁は直線状で、はねの先端部は切り取られたような特異な形となる。成虫態(秋型)で冬を越し、第1化の夏型は6月ごろから出現、以後発生を繰り返し、9月から秋型が発生する。幼虫の食草はマメ科のカワラケツメイで、その他のマメ科植物は食草とならない。
本種に近縁のものにホシボシキチョウE. brigittaがあり、対馬(つしま)、九州、南西諸島で発見されたものは迷チョウによる一時的発生と考えられる。幼虫の食草はツマグロキチョウと同じくマメ科のカワラケツメイ。
[白水 隆]