日本大百科全書(ニッポニカ) 「ティッセンクルップ」の意味・わかりやすい解説
ティッセンクルップ
てぃっせんくるっぷ
ThyssenKrupp AG
1999年3月に、ドイツを代表する総合鉄鋼企業2社、ティッセン社とクルップ社とが合併して成立した会社。ドイツでは第5位の企業規模を誇り、2008年度『フォーチュン』誌(アメリカの経済誌)のグローバル500社のランキングでは第89位、金属産業分野ではアルセロール・ミッタルに次いで世界第2位である。
2007年まで鉄鋼、ステンレス、テクノロジー、エレベーター、サービスの五つの事業部門体制であったが、2009年に組織改革を行って8部門体制となった。その内訳は、鉄鋼ヨーロッパ、鉄鋼アメリカ、ステンレス・グローバル、マテリアル・サービス、エレベーター・テクノロジー、プラント・テクノロジー、コンポーネント・テクノロジー、海洋システムである。製鋼部門は世界で第5位の生産規模を誇り、カーボン鋼やステンレス鋼に特化している。自動車関連分野では、自動車のボディーやシャシー(車台)、その他組立て用部品などを生産している。産業関連分野では、エレベーター、エスカレーター、ベアリング、その他各種工具、さらに造船、土木事業などの関連部品を製造している。エンジニアリング分野では、化学プラントなどの計画、建設、鉱山の採掘システムの企画・施工を行っている。マテリアル・サービス関連事業では、貿易や建設関連のサービスおよびそのための企画経営にかかわっている。
1999年の設立以来2008年度までに、売上げで65%、利益で5倍、配当は80%増加している。また従業員数は1万8500人から2万人に増大しているが、ドイツ国内の比率は59%から43%に低下しており、それだけ生産の国際化が進展している。
2008年度の売上げは406億ユーロで、その製品別売上げをみると、鉄鋼23%、ステンレス11%、テクノロジー25%、エレベーター13%、サービス28%となっており、また地域別内訳はドイツ32%、その他ヨーロッパ30%、アメリカ19%、アジア11%、その他8%となっている。
[湯沢 威]