日本大百科全書(ニッポニカ) 「ディアベリ」の意味・わかりやすい解説
ディアベリ
でぃあべり
Anton Diabelli
(1781―1858)
オーストリアの楽譜出版家、作曲家。ザルツブルクに生まれ、ミヒャエル・ハイドンに学ぶ。1803年にウィーンに出てピアノとギターの教師、作曲家として活躍するが、やがて楽譜出版に進出、カッピ・ウント・ディアベリ社は人気オペラやダンス音楽の出版により成功し、21年の『魔王』(作品1)以来、シューベルト歌曲の出版で名声を博した。19年、ディアベリは当時のオーストリアの有力な作曲家全員に自作のワルツの主題を送り、変奏曲の作曲を求めた。その曲集『愛国芸術家協会』(1824)には、ベートーベンの『ディアベリ変奏曲』のほか、シューベルト、チェルニー、11歳のリストの名もみられる。
[樋口隆一]