ディレイニー(その他表記)Delany, Samuel R.

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ディレイニー」の意味・わかりやすい解説

ディレイニー
Delany, Samuel R.

[生]1942.4.1. ニューヨーク,ニューヨーク
アメリカ合衆国のアフリカ系アメリカ人のSF作家,文芸批評家。フルネーム Samuel Ray Delany,Jr.。きわめて幻想的な作品において人種問題,社会問題,壮大な冒険の旅などを扱う。 1960年代前半,ニューヨーク市立大学に通う。 1962年,最初の作品『アプター宝石』 The Jewels of Aptorを出版。『バベル-17』 Babel-17 (1966) は芸術家を主人公に,言語の本質や経験を形づくる能力について探った小説で,ネビュラ賞を受賞,名声を確立した。同じくネビュラ賞受賞作『アインシュタイン交点』 The Einstein Intersection (1967) ではアウトサイダーの芸術家を主人公に,文明の発展,性別といったテーマを探求した。"Dharlgren" (1975) は,朽ちゆく巨大都市でアイデンティティを模索する同性愛者の男の物語。主要登場人物が性転換手術を受ける"Triton" (1976) では,女性やホモセクシュアルに対する偏見について検証した。

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百科事典マイペディア 「ディレイニー」の意味・わかりやすい解説

ディレイニー

米国のアフリカ系作家。常套的SFの設定を用いながら,そこに独自の哲学美学に基づく絢爛かつ実験的なSF作品を構築。現代的SFとして重視され,サイバーパンクにも影響をあたえる。《アプターの宝石》(1962年),《バベル-17》(1966年),《アインシュタイン交点》(1967年),《ノバ》(1968年)など。《ダルグレン》(1976年)は実験的手法で描かれたSF史上に残る超大作。ファンタジー作品にも手を染め,ゲイ作家としての評論活動もある。

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