デジタル印刷(読み)でじたるいんさつ(その他表記)digital printing

日本大百科全書(ニッポニカ) 「デジタル印刷」の意味・わかりやすい解説

デジタル印刷
でじたるいんさつ
digital printing

デジタルデータを直接、用紙に出力する印刷方式。デジタルプリントとよばれる場合もある。コンピュータ上で印刷物となるデータを作成、または文字や写真などのデジタルデータを集約して印刷データを作成するが、そのデータから刷版をつくり、それを印刷機に取り付けて印刷するのではなく、データを直接、用紙に印刷する。電子写真方式やインクジェット方式による印刷が主流となっている。デジタル印刷は、オンデマンド印刷で広く利用されている。

 家庭やオフィスのプリンターで、コンピュータで作成したデジタルデータを直接出力するようになったが、これらも広義ではデジタル印刷である。狭義では、速度やサイズ、画像品質などの点で家庭やオフィスの機械より高機能な機種や独自のノウハウを用い、印刷会社が印刷業務として、電子写真方式やインクジェット方式の出力機を使って印刷する方式である。従来の、版とインキを用いて印刷することをアナログ印刷とよぶのに対し、版を使わずトナー(電子写真方式)またはインクジェットインクを使って印刷する方式をデジタル印刷とよぶ。1枚の印刷でも1万枚の印刷でも印刷単価が変わらないことと、版の作成やインキを乾かす時間が不要なため、すぐに印刷物を出力できることが大きな特徴である。

 印刷物が最大でもA3判ワイド程度の大きさであることと、印刷物の品質を比較した場合、オフセット印刷のほうがきれいであるという見方をする人が多い点が短所になっている。ただし、デジタル印刷でも、オフセット印刷と遜色(そんしょく)ない品質、あるいはそれ以上の品質を出力できる機種やソフトも登場している。また、おもに看板などに使われる大判インクジェットプリンターに関しては、オフセット印刷で可能なサイズ以上のものを出力できる印刷機も登場している。

中村 幹]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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