デュアルモードビークル(読み)でゅあるもーどびーくる(その他表記)dual mode vehicle

デジタル大辞泉 「デュアルモードビークル」の意味・読み・例文・類語

デュアルモード‐ビークル(dual mode vehicle)

道路鉄道線路のどちらも走行できる機能を備えた車両DMV

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「デュアルモードビークル」の意味・わかりやすい解説

デュアルモードビークル
でゅあるもーどびーくる
dual mode vehicle

道路上、鉄道軌道上をともに走行できる車両。Dual(二つの)、Mode(方式の)、Vehicle(乗り物)の頭文字からDMVともよばれる。車体価格が安く、運行や施設整備コストも鉄道より抑えられるため、赤字ローカル線や廃線の多い過疎地の有力な交通手段になると期待されている。二酸化炭素(CO2)の排出量が少なく、線路を離れて観光地などの道路を走ることができ、観光振興や地域活性化に役だつとの見方もある。一方で輸送人員が限られ、安全確保のために運行事業者の経営余力が必要との指摘もある。世界で初めて、四国南東部を走る阿佐海岸鉄道(徳島・高知県)が2021年(令和3)12月から、観光振興用として営業運行を開始した。

 1930年代にイギリスで研究・開発が始まり、ドイツ、オーストラリア、日本(旧日本軍、国鉄など)なども開発に取り組んだが、道路から線路へ乗り入れる際の切り替え作業に時間がかかり実用化されなかった。日本では、2007年(平成19)、地域公共交通活性化再生法(「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」平成19年法律第59号)が成立し、同一車両で鉄道と自動車運送の両方を提供できる事業が法的に認められた。国土交通省は新輸送手段として実験事業を進め、2007年から着手した北海道旅客鉄道(JR北海道)をはじめ、南阿蘇(みなみあそ)鉄道(熊本県)、天竜浜名湖鉄道(静岡県)、明知(あけち)鉄道(岐阜県)などが試験運転を実施した。ただ、いずれも輸送人員が20人前後と限りがあり、安全対策のための経営余力がない、などの理由で本格運行を断念した。しかし阿佐海岸鉄道はマイクロバスをベースに、道路上はタイヤで走り、線路に入る際に収納していた鉄製車輪を15秒程度で出す方式を採用。観光目的の運行に特化し、車体(22人乗り、座席数18)を軽量化し、線路維持費や燃料費を抑えている。海外ではアメリカやスロバキアなどで導入が検討されている。

[矢野 武 2022年2月18日]

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