改訂新版 世界大百科事典 「トゥバ共和国」の意味・わかりやすい解説
トゥバ[共和国]
Tuva
ロシア連邦内の共和国。旧ソ連邦ロシア共和国内の自治共和国であったが,1991年のソ連崩壊を機に主権宣言を行い,93年共和国となった。面積17万0500km2,人口30万5500(2002)。首都キジルKyzyl(人口10万8000)。南シベリアの西部に位置し,西はアルタイ共和国(旧ゴルノ・アルタイ自治州),東はブリヤート共和国,南はモンゴルに接する。北の国境に沿って西サヤン山脈が走り,中央にトゥバ盆地の広がる山国である。気候は大陸性で1月の平均気温は-28~-35℃,7月のそれは15~20℃。年降水量は地域によって異なるが,盆地部で150~400mm。地下資源に恵まれ,鉄,非鉄金属,石炭,アスベスト,金などが産出される。農業面ではヤギ,羊を主体とする牧畜が中心となっている。共和国の民族構成はトゥバ族64.3%,ロシア人32%,その他(ハカス人など)3.7%(1989)。トゥバ族は人種的にはモンゴル系であるが,その言語のトゥバ語はチュルク語系,宗教はラマ教(チベット仏教)である。18世紀以降中国の清朝の支配下にあったが,辛亥革命後の中国の弱体化に乗じて1914年にロシアが保護領とした。ロシア革命後の21年にタンヌ・トゥバ人民共和国として独立。1920年代には文化的,宗教的に近いモンゴル人民共和国との合同を志向する動きが根強くあったが実現せず,依然としてソ連の強い影響下にあった。44年10月,ソ連邦への自発的加入という形でロシア共和国内の自治州として編入された。61年10月に自治共和国に昇格した。90年代初め,共和国に移行する前後から,伝統文化の復興運動やラマ教復権の動きが活発になっている。
執筆者:青木 節也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報