トゥホルスキー(読み)とぅほるすきー(英語表記)Kurt Tucholsky

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トゥホルスキー」の意味・わかりやすい解説

トゥホルスキー
とぅほるすきー
Kurt Tucholsky
(1890―1935)

ドイツジャーナリスト、作家。1月9日ベルリンの富裕なユダヤ系商家に生まれる。法科の学生時代に小説『ラインスベルク』(1912)で文壇に登場。第一次世界大戦後は週刊誌『ベルトビューネ』を中心に、カスパー・ハウザーなど四つの筆名を使って多彩な文筆活動をした。本領は『五馬力で』(1928)、『ドイツ、世界に冠たるドイツ』(1929)などの時局風刺短文や文学寄席(よせ)(キャバレー)用のシャンソン。ワイマール時代の軍国主義、官僚主義、司法腐敗などを社会主義ヒューマニズムの立場から鋭く批判した。ほかに小説『グリプスホルム城』(1931)などがある。1935年12月21日移住先のスウェーデンのイョーテボリ近郊で服毒自殺。

[井上修一]

『野村彰訳『ドイツ世界に冠たるドイツ』(1982・ありな書房)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トゥホルスキー」の意味・わかりやすい解説

トゥホルスキー
Tucholsky, Kurt

[生]1890.1.9. ベルリン
[没]1935.12.21. エーテボリ近郊
ドイツの小説家,評論家。富裕なユダヤ人商家に生れ,なに不自由ない少年時代を過した。ワイマール共和国時代の代表的論客として,あらゆる偽善,軍国主義,特にナチズムに痛烈な批判を浴びせた。 1929年スウェーデンに亡命,33年国籍を剥奪され,異郷の地でみずから命を絶った。ユーモアエスプリにあふれた数多くの作品は広く読まれ,恋人たちの愛の物語『グリプスホルム城』 Schloss Gripsholm (1931) は驚異的ロングセラーとなった。

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