フィンランド南西部の西スオミ州の州都トゥルク(Turku)市街、アウラ川南岸に建つ大聖堂。同国の教会の中心的存在で、現在はフィンランドルーテル教の中央教会(司教座聖堂)となっている。トゥルクには、1229年にローマ教皇グレゴリウス9世により司教座が置かれたが、この大聖堂は1300年に、フィンランド最初の司教の聖ヘンリーと聖母マリアに捧げる聖堂として建設が始まり、13世紀末に完成した。その後も何世紀にもわたって増改築が行われてきた。現在の聖堂の建物は、1827年のトゥルクの大火災により被害を受けた聖堂を修復し、新たにデザインされたものである。この火災で塔も倒壊し、建築家エンゲル(Carl Ludvig Engel)の設計で、新たに現在の塔が建てられた。また、1979年にも大改修が行われている。内部には、宮廷画家R.W.エークマンが描いた1836年のロマン主義の祭壇画や天井画がある。また、博物館が併設され、この大聖堂の歴史に関する模型や、典礼聖器、テキスタイル、中世の彫刻などの展示が行われている。