とげぬき地蔵(読み)トゲヌキジゾウ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「とげぬき地蔵」の意味・わかりやすい解説

とげぬき地蔵
とげぬきじぞう

東京都豊島(としま)区巣鴨(すがも)にある曹洞(そうとう)宗の寺。正しくは萬頂山(ばんちょうざん)高岩(こうがん)寺というが、「とげぬき地蔵」の通称で名高い。本尊は延命地蔵菩薩(ぼさつ)。1596年(慶長1)扶嶽太助(ふがくたいじょ)が開基となって江戸・湯島建立、のち下谷(したや)に移り、1891年(明治24)下谷より現在地に移転した。縁起によると、慶長(けいちょう)(1596~1615)のころ小石川の田付氏の妻が病気になると、夢のなかに延命地蔵が現れて印像を授けたので、妻女がこの印像で1万体の捺印(なついん)をして隅田川に流したところ、病気が治ったという。その後、正徳(しょうとく)年間(1711~16)毛利(もうり)家の女中が誤って針を飲み込んだとき、地蔵尊の印像を水で飲ませたところ、すぐに針を吐き出したという。以後、「とげぬき地蔵」の霊名があがり、広く厄除(よ)け・招福の地蔵として信仰されるようになった。大祭(1・5・9月の24日)のほか、4の日の縁日には多くの参拝者でにぎわう。

菅沼 晃]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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