明治の流行歌。作詞・作曲者未詳。『トンヤレ節』ともいう。1868年(慶応4)京都や大津で、「宮さん宮さんお前の前に、ちらちらするのはソラ何や、あれは朝敵征伐せいとの錦(にしき)の御旗(みはた)を知らないか、とことんやれ」と歌われた。この歌は討幕の東征軍とともに東京へも伝わったが、当時の旋律は現在のような西洋風ではなかったと推測される。
ところが1885年(明治18)ギルバートとサリバンのオペレッタ『ミカド』がロンドンで初演され、欧米諸国で大流行する。なかでもアメリカ国民は、その一節に取り入れられた「宮さん宮さん……」を愛唱した。日本でこの歌が話題となるのは、『ミカド』の改定版が横浜や神戸で上演された87年以降のことである。なお作詞は品川弥二郎(やじろう)、作曲は祇園(ぎおん)の芸妓(げいぎ)君尾とか大村益次郎(ますじろう)とかいわれているが、真偽のほどはさだかでない。
[倉田喜弘]
…長州藩士分の弥市右衛門の子として生まれ,吉田松陰の松下村塾に学び,禁門の変などで尊攘派の志士として活躍した。鳥羽・伏見の戦で官軍が歌った〈トコトンヤレ節〉の作詞者としても有名である。維新後は明治政府に仕え,1870年(明治3)ドイツに留学し,そのままドイツ公使館に勤めた。…
※「とことんやれ節」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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