日本大百科全書(ニッポニカ) 「トルキスタン砂漠」の意味・わかりやすい解説
トルキスタン砂漠
とるきすたんさばく
中央アジアに位置する砂漠で、名称はこの地方名に由来する。範囲は西はカスピ海から、東はアルタイ山脈、ジュンガル山脈、天山山脈とパミール高原の麓(ふもと)まで、北は北緯48度線に沿い、南はアフガニスタン、イランとの国境沿いまでで、東西約2500キロメートル、南北約1500キロメートルである。面積194万平方キロメートル。年降水量は北縁で約180ミリメートル、南縁で約250ミリメートルであるが、カスピ海沿いの海面下の低地では約70ミリメートルである。冬の気温は厳しく、ほぼ全域で最寒月の平均気温はマイナス5℃以下であるが、夏は高温となり最暖月の平均気温は25~30℃になる。地形は全体的にカスピ海に向かって緩やかに傾斜する平原と大地であり、カラクム砂漠(黒い砂砂漠)、キジルクム砂漠(赤い砂砂漠)など多数の砂砂漠が分布しており、その面積はトルキスタン砂漠の約45%を占める。この砂漠はまばらな草原であり遊牧地域であったが、ソ連時代になると、アラル海に流入するアム川(アムダリヤ)、シル川(シルダリヤ)の水を利用して、1930年代から耕地化が始まった。最盛期は1950年代後半で約4000万ヘクタールが耕地化された。その結果アラル海の縮小が続き、2020年ころまでに南アラル海は干上がると推定されている。乾いた湖底から塩類を含んだ微粒子が飛散し、深刻な環境破壊が進行している。この砂漠の西部には大量の石油が埋蔵されており、注目を集めている。
[赤木祥彦]