トールフェスク(読み)とーるふぇすく(英語表記)tall fescue

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トールフェスク」の意味・わかりやすい解説

トールフェスク
とーるふぇすく
tall fescue
[学] Festuca arundinacea Schr.

イネ科(APG分類:イネ科)の多年草。ヨーロッパ原産で、日本には明治初年に牧草としてアメリカから導入された。ウシノケグサ近縁で、より大形であるため、和名オニウシノケグサという。高さ0.5~1.5メートルとなり、葉は長さ10~60センチメートル。初夏に穂を出す。幅広く深い根系が発達し、地下茎で増殖するので乾燥に強く、また耐寒性もあり環境への適応力がきわめて強い。北海道から九州まで、おもに放牧地で栽培されており、クローバー類やアルファルファなどといっしょに植えられる。品種のうちとくに著名なケンタッキー31フェスクは日本での本種のほとんどを占めている。ほかにアルタ、ゴアールなどの品種があるが、日本では普及していない。

 やせ地でもよく育ち、芝地を形成するので土壌侵食防止に多く用いられ、造成地斜面や道路法面(のりめん)などの保護に用いられる。反面、各地で野生化し、農地庭園緑地などではやっかいな雑草にもなっている。

[星川清親 2019年9月17日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

放射冷却

地表面や大気層が熱を放射して冷却する現象。赤外放射による冷却。大気や地球の絶対温度は約 200~300Kの範囲内にあり,波長 3~100μm,最大強度の波長 10μmの放射線を出して冷却する。赤外放射...

放射冷却の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android