日本大百科全書(ニッポニカ) 「トールフェスク」の意味・わかりやすい解説
トールフェスク
とーるふぇすく
tall fescue
[学] Festuca arundinacea Schr.
イネ科(APG分類:イネ科)の多年草。ヨーロッパ原産で、日本には明治初年に牧草としてアメリカから導入された。ウシノケグサに近縁で、より大形であるため、和名をオニウシノケグサという。高さ0.5~1.5メートルとなり、葉は長さ10~60センチメートル。初夏に穂を出す。幅広く深い根系が発達し、地下茎で増殖するので乾燥に強く、また耐寒性もあり環境への適応力がきわめて強い。北海道から九州まで、おもに放牧地で栽培されており、クローバー類やアルファルファなどといっしょに植えられる。品種のうちとくに著名なケンタッキー31フェスクは日本での本種のほとんどを占めている。ほかにアルタ、ゴアールなどの品種があるが、日本では普及していない。
やせ地でもよく育ち、芝地を形成するので土壌侵食防止に多く用いられ、造成地斜面や道路法面(のりめん)などの保護に用いられる。反面、各地で野生化し、農地や庭園、緑地などではやっかいな雑草にもなっている。
[星川清親 2019年9月17日]