改訂新版 世界大百科事典 「ウシノケグサ」の意味・わかりやすい解説
ウシノケグサ
sheep fescue
black twitch
Festuca ovina L.
山地の乾燥地から高山帯の岩場にも生えるイネ科の多年草。茎と葉は細くて硬く,針のような感じで,多数密生して株を作る。茎は高さ20~40cm,基部から立つ。葉は強く内巻きの毛管状で,白緑色であるため銀針草(ぎんしんそう)の異名があり,欧米の庭園に植えられることもある。葉身は長さ10cmくらい,幅は0.2~0.5mmである。円錐花序は夏に現れ,長さは10cmくらいで,幅狭く,小穂はやや密に立ちぎみの枝につき,白緑色かわずかに紫色を帯びている。牛の毛草の名は,細い葉を牛の毛にたとえている。北半球全体の温帯から寒帯に広く分布し,日本では北海道と本州の中部以北に見られる。中国やシベリアでは牧草として羊の飼料にする。
ウシノケグサ属Festuca(英名fescue)は約100種あり,山野の雑草のトボシガラや,南ヨーロッパ原産の帰化植物のナギナタガヤがある。オニウシノケグサなどいわゆるフェスク類は優良な牧草であり,いくつかの種は芝生にも使われる。
執筆者:小山 鐵夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報