ウシノケグサ(読み)うしのけぐさ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウシノケグサ」の意味・わかりやすい解説

ウシノケグサ
うしのけぐさ / 牛毛草
[学] Festuca ovina L.

イネ科(APG分類:イネ科)の多年草。根茎は短く、走出枝がない。多数の稈(かん)が叢生(そうせい)し、高さ20~40センチメートル。新枝は完全に古い葉鞘(ようしょう)内に沿って鞘口から出る。葉は針形で二つ折りに畳まり、無毛。6~8月に稈の先に円錐(えんすい)花序をつくる。小穂は数個の小花をもち、長さ5~9ミリメートル、包穎(ほうえい)は護穎より短い。護穎は洋紙質で5脈をもち、1ミリメートルほどの芒(のぎ)がある。日本全土の山地または高山岩場に生え、北半球に広く分布する。名は、葉が畳まって細く糸状なので、ウシヒツジの毛にたとえていう。似たものにオオウシノケグサがある。これは走出枝をもち、株がやや広がって、新芽は一部古い葉鞘の基部を破って出る。また芒が護穎よりはるかに長くて、一年生のナギナタガヤは、ヨーロッパ原産の帰化植物である。

[許 建 昌 2019年8月20日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウシノケグサ」の意味・わかりやすい解説

ウシノケグサ(牛の毛草)
ウシノケグサ
Festuca ovina; sheep's fescue

イネ科の多年草で,乾いた山地や高山に生える。日本をはじめ北半球に広く分布する。短い根茎から多数の葉や茎 (稈) を密に出す。茎は細く緑色,高さ 30~50cmになる。葉は針形で長さ5~15cmの淡緑色。6~7月の頃,茎頂に長さ6~10cmの花穂を出す。小穂は長さ6~7mm,3~5花から成る。牧草にも使われ,収量は少いがやせ地にも生育し,ヒツジがこれを好む。同属のもので牧草としても最も重要なものはヒロハノウシノケグサ F. elatior; meadow fescueでヨーロッパに最も普通で,日本にも輸入され各地に帰化している。葉の幅が広く,全体も大型で 1m近くなる。近縁別種で茎の高さ 50~120cmにもなるオオウシノケグサ F. rubra; red fescueも牧草になる。またこれらの草は芝草にも用いられる。

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