ドケティズム(英語表記)docetism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドケティズム」の意味・わかりやすい解説

ドケティズム
docetism

初期キリスト教会におけるキリスト論に関する異端的傾向の一つ。物質を悪とする立場からイエス・キリストが真正の肉体を有していたことやその真の受難を否定し,これらはすべて見せかけだけのものであるとした。1世紀にすでにこの傾向が存在していたことは新約聖書から知られるが (ヨハネ1,2書,コロサイ書) ,2世紀になってグノーシス派なかで盛んとなった。ケリントス,セラピオンらがその代表者といわれる。仮現説キリスト仮現説ともいわれる。表記の由来ギリシア語の dokein (現れる) からきている。

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