改訂新版 世界大百科事典 「ナイトホスピタル」の意味・わかりやすい解説
ナイト・ホスピタル
night hospital
精神障害者のリハビリテーションの一形態として始められたもので,昼間は通学・通勤させ,夜間は医療チームの保護下において医療・保護を行う方式。夜間病院と訳される。1953年,カナダのモントリオール総合病院でモルE.Mollによって開始された。別にビエラJ.Biererは地域内に独立にこれを設け,昼間仕事などのため病院での外来治療を受けることのできないもののための夜間診療を兼ねたナイト・ホスピタルを運営した。精神障害者,とくに統合失調症者等の治療は,薬物療法や生活療法の進歩によって,従前の閉鎖的処遇から開放的処遇にかわり,入院患者の外出・外泊・院外作業が可能になった。しかし,入院患者がいきなり過酷な全日制勤務の仕事に戻ると挫折したり,ときには再発したりすることがあるので,社会再適応を徐々に進めることが必要と考えられ,この方式がとり入れられた。日本の精神病院でも,リハビリテーションの一形態として,デー・ケアとともに普及している。しかし,独立に運営されているものはなく,入院患者の病院内作業療法の延長の形のもの,職業訓練,前職業的訓練の立場に立って,通勤形態として作業に従事させるものなどがある。精神病院から退院前の患者の前職業的訓練のために患者を受け入れ,または退院後の患者の職業訓練を行う特定の事業所を〈職親〉と称している。都道府県で,職親に対して若干の補助費を出しているところもある。
→中間施設 →デー・ホスピタル
執筆者:加藤 伸勝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報