ナガカメムシ(読み)ながかめむし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナガカメムシ」の意味・わかりやすい解説

ナガカメムシ
ながかめむし / 長亀虫
長椿象

昆虫綱半翅(はんし)目異翅亜目ナガカメムシ科Lygaeidaeの昆虫の総称体長は数ミリから15ミリで、5~10ミリのものが多い。普通長形で、触角は四節からなり、複眼中央と頭額先端を結ぶ線より下から出る。頭頂部後方には普通2個の単眼がある。小楯板(しょうじゅんばん)は小さく、前翅膜質部の脈は5、6本でほぼ平行している。地上の草間にすむものが多いが、樹上性の種もある。多くは植食性であるが、ときにほかの小昆虫を捕食するものが知られている。日本には100種余りが分布し、九亜科に分類される。

 日本産のおもな種として、ジュウジナガカメムシTropicothorax curciger(植食性で、カモメヅルなどに寄生)、オオメナガカメムシPiocoris urarius(雑食性で、小昆虫を捕食するが、植物から吸汁もする)、チャモンナガカメムシParadieuches dissimilis(植食性で、ヤマグワの実に群がる)などが知られ、南日本から琉球(りゅうきゅう)諸島にはサトウキビ害虫で有名なカンショコバネナガカメムシCavelerius saccharivorusが分布する。

[林 正美]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナガカメムシ」の意味・わかりやすい解説

ナガカメムシ
Lygaeidae; lygaeid bug

半翅目異翅亜目ナガカメムシ科に属する昆虫の総称。体長 10mm以下のものが多い。体は卵形または細長く,色彩は目立たない地味なものと,鮮かな赤などに彩られるものとがある。頭部は短く,触角は長く4節から成り,顔面の下方から生じる。複眼はやや突出し,その間に2個の単眼がある。口吻は4節。前胸はしばしば中央部がくびれてひょうたん形をなす。半翅鞘は長く,膜質部はよく発達し,顕著な5~6本の翅脈がある。多くは植食性で地表や植物上にすむが,樹皮下や葉鞘に隠れる種もある。世界に 3000種以上が知られる。日本産は約 150種で,サトウキビの大害虫であるカンショコバネナガカメムシ Cavelerius saccharivorusや,橙赤色の斑紋のある美麗種マダラナガカメムシ Lygaeus equestris,ジュウジナガカメムシ Tropidothorax crucigerなどが知られている。 (→異翅類 , 半翅類 )  

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