日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナガボノウルシ」の意味・わかりやすい解説
ナガボノウルシ
ながぼのうるし / 長穂野漆
[学] Sphenoclea zeylanica Gaertn.
ナガボノウルシ科(APG分類:ナガボノウルシ科)の一年草。茎は直立して高さ20~50センチメートル、葉とともにやや肉質である。葉は互生し、披針(ひしん)形で長さ3~9センチメートル、鋸歯(きょし)はない。夏、枝先に穂状花序をつくり、多数の小さな花を密集する。花は5数性、花冠は白色で壺(つぼ)状、子房は下位。果実は扁球(へんきゅう)形、上部の蓋(ふた)がとれて多数の種子を出す。熱帯に広く分布する雑草で、水辺に生え、九州でまれに生育する。名は、全体がノウルシに似ているが、穂状花序をもつのでいう。
ナガボノウルシ科Sphenocleaceaeは1属2種のみからなる合弁花類で、西アフリカにある他の一種とともにキキョウ科に近いが、花柱に集粉毛がないので区別される。
[山崎 敬 2021年7月16日]