ノウルシ(読み)のうるし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノウルシ」の意味・わかりやすい解説

ノウルシ
のうるし / 野漆
[学] Euphorbia adenochlora Morr. et Decne.

トウダイグサ科(APG分類:トウダイグサ科)の多年草。根茎は太く、横にはう。茎は太く、直立して高さ40~60センチメートル、上部に長い白毛をまばらにつける。葉は互生し、広倒披針(ひしん)形または長楕円(ちょうだえん)形で長さ5~8センチメートル、先は丸く、全縁で質は柔らかい。茎頂葉腋(ようえき)から細枝を出し、4月ころ杯状花序をつける。総包葉は広卵形で黄色を帯びる。腺体(せんたい)は心臓形で径約2ミリメートル、黄色を帯びる。蒴果(さくか)は径約6ミリメートル、毛はなく、いぼ状の突起がある。種子はほぼ球形で径約3ミリメートル、滑らかである。低湿地に群生し、北海道、本州、九州に分布する。名は、傷つけると出る白色の乳液が皮膚につくとウルシの場合と同様かぶれることによる。

[小林純子 2020年6月23日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノウルシ」の意味・わかりやすい解説

ノウルシ(野漆)
ノウルシ
Euphorbia adenochlora

トウダイグサ科の多年草。日本各地の川岸のような湿った草地に群生する。地下の根茎は太く横にはう。茎は直立し高さ 40~60cmあってよく分枝し,切ると乳液を出す。葉は互生し,細長い楕円形で長さは4~9cmある。茎頂に輪生する5枚の葉があり,その葉腋から散形に枝を出して,先端に独特の杯状花序をつける。この花序では杯形に癒合した黄色の総包があり,その中に1個の雌花と数個の雄花が入っている。雌雄花ともただ1本のめしべ,またはおしべでできていて花被はない。 蒴果は球形で,表面にいぼがあり,3室に裂け,球形の種子を出す。乳液中に有毒成分を含むが,根茎は利尿剤に使われることもある。

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