なでしこジャパン(読み)なでしこじゃぱん

知恵蔵 「なでしこジャパン」の解説

なでしこジャパン

サッカー日本女子代表チームの愛称。2004年、アテネオリンピック出場を前に日本サッカー協会(JFA)が一般公募して選んだもので、清楚(せいそ)で凜(りん)とした美しさを持つ日本女性をたたえる言葉「大和撫子(なでしこ)」からの「なでしこ」に、世界に羽ばたくようにと「ジャパン」を組み合わせたもの。
日本の女子サッカーは、1991年に行われた第1回FIFA女子世界選手権・中国大会から代表を送り込んでいるが、アテネ・オリンピック以前には目立った成績は残せないでいた。だが、アテネ・オリンピックでベスト8に進出、「なでしこジャパン」の知名度が高まり、日本女子サッカーリーグ(L・リーグ)も「なでしこリーグ」という愛称で呼ばれるようになり、観客が飛躍的に増加した。
2006年にはカタールドーハで行われたアジア競技大会で準優勝したが、07年に中国で行われたFIFA女子ワールドカップでは、グループリーグ敗退となった。
08年、コーチを務めていた佐々木則夫が監督に就任。直後2月に行われた東アジアサッカー女子選手権では、3戦全勝で初優勝。同年5~6月のAFC女子アジアカップでは3位、同年8月の北京オリンピックでは初のベスト4進出を果たした。
その後、10年の東アジア女子サッカー選手権、アジア競技大会ともに優勝。
11年、ドイツで行われているFIFA女子ワールドカップでは、準々決勝で大会2連覇中の開催国ドイツを破りベスト4に進出。「速いパス回し」は他を圧倒するものがあり、身体の大きさやパワーでは劣るが、ボールの蹴り分けやドリブルの巧みさなどを誇るテクニシャンが多く、日本女子サッカーは確実に世界の中心で戦える存在として新たなステップに足を踏み入れていると評価されている。キャプテン沢穂希は、すでにメキシコ戦と準々決勝のドイツ戦の両方で、FIFAによってMVPに選出されている。更に、準決選でスウェーデンを3対1で破り、初のワールドカップ決勝進出。その決勝も世界ランク1位の米国を相手に、延長の末PK戦で勝利し優勝。日本がFIFAの大会で優勝するのは、男女あらゆる年代で初めての快挙だ。FIFAによって、キャプテンの沢は大会MVPと得点王に、GKの海堀あゆみが決勝のMVPに選出された。

(菘(すずな)あつこ  フリーランス・ライター / 2011年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

百科事典マイペディア 「なでしこジャパン」の意味・わかりやすい解説

なでしこジャパン

サッカー日本女子代表チームの愛称。日本サッカー協会によって編成される。FIFA女子ワールドカップに6回(全大会),オリンピックには3回出場を果たしている。2011年6月のワールドカップ(開催地ドイツ)で決勝戦でアメリカを破って優勝,なでしこ旋風を巻き起こした。2011年度のFIFA年間表彰で,キャプテンの澤穂希が女子最優秀選手賞,監督の佐々木則夫が最優秀監督賞を受賞。チームは国民栄誉賞を授与された。2012年のロンドンオリンピックでは決勝で再びアメリカと闘い敗れたが,銀メダルを獲得した。女子プロサッカーリーグ戦も〈なでしこリーグ〉と呼ばれている。

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