日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナバホ」の意味・わかりやすい解説
ナバホ
なばほ
Navaho
アメリカ合衆国に住む最大の先住民集団(アメリカ・インディアン)。人口は約22万(1990)。言語はアサバスカ語族に属する。現在の居住地はアリゾナ州、ニュー・メキシコ州、ユタ州にまたがるインディアン居留地である。数世紀前に北部からやってきた人々で、アパッチApacheとは非常に近縁である。古くからの居住者であるプエブロPueblo系の人々から多くの文化要素を取り入れたため、その社会文化は混交的な性格を示し、ナバホはさまざまな民族集団が交じり合ったものである。中心となる生業はトウモロコシ、豆、カボチャの農耕であるが、スペイン時代以後は牛、羊の牧畜も行っている。織物も重要な収入源である。基本となる社会単位は核家族で、出自は母系、婚姻後の居住規制は妻方であり、約60の母系クランがある。拡大家族などの近親者はだいたい近くに住み、農業、家の建築、牧畜では互いに協力しあう。呪術(じゅじゅつ)師の役割が大きく、病気治療の際などには砂絵が用いられる。
[木村秀雄]