なよぶ(読み)ナヨブ

デジタル大辞泉 「なよぶ」の意味・読み・例文・類語

なよ・ぶ

[動バ上二]
しなやかになる。柔らかくなる。
「―・びたる御衣ども脱い給うて」〈夕霧
物腰などがなよなよしている。しとやかである。
内侍は、ねびたれど、いたくよしばみ―・びたる人の」〈紅葉賀
[補説]連用形「なよび」以外用いられないので、四段活用とする説もある。多く、完了助動詞「たり」を伴って用いられる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「なよぶ」の意味・読み・例文・類語

なよ‐・ぶ

[1] 〘自動〙 (活用は、バ行四段か上二段か未詳)
衣服などがしなやかになる。ごわごわしないようになる。
源氏(1001‐14頃)夕霧「なよびたる御ぞども脱い給うて」
② ゆれ動く。
木幡時雨鎌倉か)「らうたげにあてなる御あり様まことにおみなへしのかぜになよひなでしこの露にぬれたらんよりも」
③ 女性的で、やわらかな感じがする。柔弱である。
※源氏(1001‐14頃)賢木「御心なよびたる方に過ぎて、つよき所おはしまさぬなるべし」
人柄などが、優美、繊細である。
※源氏(1001‐14頃)若菜上「あまり、いたくなよび、よしめくほどに、重き方おくれて」
⑤ 好色めく。
※源氏(1001‐14頃)椎本「なよひ、けしきばみたるふるまひをならひ侍らねば」
[2] 〘他バ四〙 なよなよさせる。ゆれ動かす。
在りし日の歌(1938)〈中原中也早春の風「日影たのしく身を嫋(ナヨ)ぶ」

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