ニホンカモシカ（読み）にほんかもしか（英語表記）Japanese serow

日本大百科全書(ニッポニカ)

ニホンカモシカ
にほんかもしか / 日本氈鹿
Japanese serow
[学] Capricornis crispus

哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目ウシ科の動物。北海道を除く本州、四国、九州に分布する。日本特産種でアオシシ、クラシシ、カモシシ、ニクの呼び名がある。1955年（昭和30）に特別天然記念物に指定されている。頭胴長100～120センチメートル、肩高68～72センチメートル。角(つの)は雌雄ともにあり、8～15センチメートルほどで後方に緩やかに曲がる。目の下の眼下腺(せん)と、ひづめの間の腺が発達している。被毛の色は生息場所により異なり、白色に近いものから茶褐色、黒褐色などがある。一般に標高1000～2000メートルの亜高山から高山帯に生息する。4～6月に1産1子を産む。妊娠期間は約7か月である。

［北原正宣］

[参照項目] | カモシカ

ニホンカモシカ

カモシカのおもな種類〔標本画〕

御在所山のニホンカモシカ

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

小学館の図鑑NEO[新版]動物

ニホンカモシカ
学名：Capricornis crispus

種名 / ニホンカモシカ
科名 / ウシ科
日本固有種 / □
解説 / 15cmほどの短い角をもちます。単独で生活し、オス、メスそれぞれがなわばりをもちます。
体長 / 110～120cm／肩高70～90cm
体重 / 30～50kg
食物 / 木の葉と芽、草
分布 / 本州、四国、九州の山岳地帯
天然記念物 / ☆特別天然記念物
解説 / 食べる物　木の葉や芽、イタドリなどの大きな葉をつける草を選んでつまみ食いをします。
解説 / 社会　単独で生活してなわばりをもち、ほかの個体が入ってくると追いはらいます。オスとメスもふだんは別々に生活し、繁殖の季節にだけ夫婦となります。

オスもメスも角があります。大きな眼下腺…

眼下腺をこすりつけてマーキングします。

出典　小学館の図鑑NEO[新版]動物

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

ニホンカモシカ
Capricornis crispus; Japanese serow

偶蹄目ウシ科。単にカモシカともいう。全長 130cm，肩高 67cm。地方により体色が異なり，本州南部産は普通こげ茶色，本州中部産は灰茶色，東北産は灰白色で，背の正中線に黒毛を混生する。雄の角は細く鋭く，雌の角は太く鈍い。高山獣で，常緑針葉樹帯から草本帯の岩山に単独またはつがいで生息する。4～6月に1子を産む。毛皮が良質のため乱獲され，一時期その数が減った。現在，国際保護動物，かつ日本の特別天然記念物の指定を受け保護されている。本州，四国，九州に分布する。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

世界大百科事典（旧版）内のニホンカモシカの言及

【カモシカ】より

…シーローとも呼ばれる。ニホンカモシカC.crispus（イラスト），タテガミカモシカ(スマトラカモシカ，シーロー)C.sumatrensis，タイワンカモシカC.swinhoeiの3種がある。ふつう標高600～3000mの森ややぶのある山の斜面や岩場にすむ。…

※「ニホンカモシカ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」