ノアザミ(読み)のあざみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノアザミ」の意味・わかりやすい解説

ノアザミ
のあざみ / 野薊
[学] Cirsium japonicum DC.

キク科(APG分類:キク科)の多年草。茎はやや花茎状で直立し、高さ0.5~1メートル。葉は羽状に中裂し、縁(へり)の鋸歯(きょし)は先が鋭い刺(とげ)になる。根出葉は花時にも残る。花期は5~8月。数多いアザミのなかで、春に咲くのは本種のみである。頭花は紅紫色で径約3センチメートル、管状花のみからなる。総包片は直立して先端は刺になり、背部に粘着質を分泌し、粘り付く。山野にごく普通に生え、本州から九州に分布する。古くから野草の代表として、絵の対象にされている。本種をもとに改良された園芸品種ドイツアザミは頭花の色が濃色の鮮かなもので、切り花に使われる。

[小山博滋 2022年3月23日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノアザミ」の意味・わかりやすい解説

ノアザミ(野薊)
ノアザミ
Cirsium japonicum

キク科の多年草。北海道を除く日本各地の山野に最も普通に生える。春から夏に咲くアザミはこの種だけである。茎は高さ 50~100cmとなり,上部で分枝する。葉は互生し,長さ 20~40cmの長楕円形で羽状に中裂し,縁に多くのとげがある。茎の上部の葉ほど小さく,柄もなくなる。また葉の両面に毛がある。5~8月頃に,枝先に紅紫色の管状花だけから成る頭花が直立して上向きに開く。まれに白色や紅色のものがある。総包はやや球形で径約 2cm,多少クモの糸状の毛がある。外側の総包片は直立し,先に鋭いとげがあり,粘着性がある。観賞用に栽培され,その改良品はドイツアザミ,あるいはハナアザミと呼ばれている。

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