日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノバティアヌス」の意味・わかりやすい解説
ノバティアヌス
のばてぃあぬす
Novatianus
3世紀の神学者。250年ごろ、ローマ教会の名声の高い長老であった。修辞学に通暁し、おそらく、ローマ教会の神学者として最初にラテン語の著作を公刊した。著述には、キプリアヌスあての書簡、『三位一体(さんみいったい)論』『貞潔の善について』などがあげられる。迫害に際してのキリスト教徒の態度についてしだいに非妥協的な厳格主義の立場をとり、そのグループの指導者として教皇に任命された。しかし彼の見解はアンティオキア学派には是認されたが、アレクサンドリア学派に拒否された。彼は251年、ローマ会議で罷免された。彼のグループはローマを離れ、イタリア、ガリア、スペイン、北アフリカの各所で結集し、東方では「純潔派」καθαροs名称でよばれた。中世のカタリ派の源流となる。
[中沢宣夫 2017年12月12日]