日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハウアース」の意味・わかりやすい解説
ハウアース
はうあーす
Walter Norman Haworth
(1883―1950)
イギリスの有機化学者。マンチェスター大学でパーキンWilliam Henry Perkin, Jr.(1860―1929)に学び、ゲッティンゲン大学のワラッハのもとに留学後、ロンドンの帝国理工科大学Imperial College of Science and Technology実験助手。1912年セント・アンドリューズ大学に移り、糖類の研究を始め、1920年ダーラム大学教授を経て、1925年バーミンガム大学教授。1948年の退官まで務めた。初めテルペンを研究したが、1915年のメチル化によるオリゴ糖の構造研究から糖質に移り、E・フィッシャーの業績を発展させ、糖質化学の基礎を確立した。単糖の環構造の、ピラン、フラン誘導体としての定式化(ピラノース、フラノース)、各種糖誘導体の合成研究、オリゴ糖の構造決定、生体高分子としての多糖の構造研究などがあり、1932年には、それらの成果を駆使してビタミンC(L-アスコルビン酸)の構造決定と合成に成功、カラーとともに1937年ノーベル化学賞を受賞。両世界大戦中は戦時研究に従事、とくに第二次世界大戦ではイギリスにおけるウラン化合物の研究などを組織、指導した。
[梶 雅範]