改訂新版 世界大百科事典 「ハゴロモモ」の意味・わかりやすい解説
ハゴロモモ
Washington plant
Cabomba caroliniana A.Gray
北アメリカ原産の水中に生育するスイレン科の植物で,日本にも帰化している。茎は細長く,節から多くの不定根を出す。葉は2型あり,水中葉は対生,葉身は5~7裂し,各裂片はさらに細裂して糸状になる。別名をフサジュンサイといい,ハゴロモモの名とともに,この葉の形状に由来する。浮葉は楯状,葉身は長楕円形で水中葉に比べ小さく,葉腋(ようえき)から花柄を出す。花は花柄上に単生し,径1.5~2cm。萼片,花弁ともに白色で3枚。各花弁の基部には黄色の耳状分泌腺があり,授粉昆虫であるハエ類を誘引する。おしべは6本で葯は外向。めしべは2~3本が離生し,棍棒状の柱頭を持つ。内には通常,3個の胚珠をつける。水中葉がゆれ動く様子が美しいので,アクアリウムなどに入れて観賞される。
執筆者:伊藤 元己
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報