翻訳|aquarium
魚をはじめとした水生動物を人工的に飼育する施設で,広義には人工池を含めるが一般には水槽を指す。18世紀にはガラス水槽で金魚を飼育することに成功しているが,本格的な水槽飼育技術が確立するのは19世紀中ごろで,以後水温維持・汚濁処理・酸素供給などの面でさまざまな技術改良が進み,現在では家庭で熱帯魚が飼えるようになっているし,さらに人工海水の発達で海産動物の飼育も可能になっている。
19世紀中ごろから展示施設としてのアクアリウムに対する一般の関心が高まり,研究所や動物園の付属施設として大規模なものが設置されるようになった。この場合のアクアリウムは水族館と呼ばれる。研究所の付属施設としてはフランスのボルドーに1830年に開設されたものが,動物園の施設としては53年ロンドン動物園に設けられたものが最初とされる。なおアクアリウムの語を初めて用いたのはイギリスの鳥類学者ゴスPhilip Gosseである(1854)。日本では82年上野動物園が開園の半年後に〈魚のぞき〉を設け,これが第1号とされている。
執筆者:矢島 稔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
水生生物を飼育する容器、または水族館のことをいう。
(1)飼育水槽 水が入る容器であればなんでもよいが、槽内で飼育中の生物が見やすいように、ガラス、アクリル樹脂など透明な材料を用いるのが普通である。かつて市販品の多くは、ステンレス枠にガラスをパテ止めしたものであったが、最近ではシリコン樹脂で接着した総ガラス製または総アクリル樹脂製の水槽が主流を占めている。水槽の形は横長の長方形が一般的であるが、目的によっては球形、円柱形などの変形水槽もつくられる。槽内の水温、水質を一定に保つためには、ヒーター、クーラー、濾過(ろか)循環装置などが必要である。
(2)水族館 大小多数の飼育水槽と槽内の環境維持設備があり、水生生物の生態を一般に公開する施設で、水生動物の分類、生態、水質維持などに関する研究も行う。
[荒賀忠一]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
(2015-9-17)
…水生動物を生きたまま展示し,研究するための公共施設。なお近年は水族園,アクアミュージアム等と称するものが多い。現在日本だけでも水族館は100以上開設されていて,1国の保有館数としては世界で最も多く,世界中にはおそらく500館以上存在すると思われる。
[水族館の歴史]
人の好奇心はいろいろな動物にむけられたが,水の中の生態を見たいという欲求も決して小さいものではなく,水を入れた容器の中で魚を飼育したという記録が古代バビロニアのシュメールや中国の周の時代にもあり,水槽や池で飼うキンギョは宋の時代に多くの品種がつくられた。…
…53年ロンドンのリージェントパーク動物園の中に水族館が設けられたが,このときガラスの水槽が初めて使われ,光をあてて藻がしげるようにくふうされていた。中がよく見えることと,先駆的なバランス型アクアリウムの発想で水中に酸素を補給したことは画期的で,これを近代水族館の第1号とする学者もいる。ところがこれと時を同じくして,イギリスのロイドW.Alford Lloydが水を砂でろ過して循環させる方法を見いだし,水質保全についての技術が開発され実用化されはじめた。…
※「アクアリウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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