改訂新版 世界大百科事典 「ハナシュクシャ」の意味・わかりやすい解説
ハナシュクシャ
ginger lily
ショウガ科シュクシャ属Hedychiumは東アジア,ニューギニア,マダガスカルに約40種を産する。根茎状の地下茎をもち,地上部はショウガに似る。葉は無柄,長楕円形または披針形で2列にならぶ。花は茎の先端部に穂状か密錐花序でつき,美しい。その中で観賞用に栽培されるものをハナシュクシャと呼ぶ。熱帯系の植物だが,やや耐寒性のある種では暖地の屋外で越冬する。そのような種に次のようなものがある。ガランガH.coccineum Buch.-Ham.はヒマラヤ,インド,ミャンマーの高地の原産。茎の高さは1.5~2m,葉幅は3~5cmと狭く,緑色で細長い。穂状花を密生し,花は小輪で紅色。ベニバナシュクシャの別名もある。シュクシャはインド,マレーシアの原産。高さは1~2m,葉幅は5~12cmでカンナの葉に似る。花は純白で,強い芳香があり,日本では夏から秋に咲く。切花にも多く使われる。キバナシュクシャH.gardnerianum Wall.は,インド,ヒマラヤの高地の原産。花は淡黄色で強い芳香があり,果実は赤色である。
シュクシャ属は園芸上ジンジャーの名で親しまれ,日本でもそのほかいろいろの品種がつくられている。性質などはカンナに似る。関東以西の暖地では戸外に植えたままでも育つが,寒い地方では春に地下茎を植え,秋11月には掘り上げて川砂に植え,室内で7℃以上で保護する。栽培は日当りか明るい日陰で,腐植質に富んだやや湿りぎみの場所でつくる。繁殖は株分けによる。
執筆者:坂梨 一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報