シュクシャ(読み)しゅくしゃ(英語表記)wild siamese cardamom

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュクシャ」の意味・わかりやすい解説

シュクシャ
しゅくしゃ / 縮砂
wild siamese cardamom
[学] Amomum villosum var. xanthioides (Wall. ex Baker) T.L.Wu et S.J.Chen
Amomum xanthioides Wall.

ショウガ科(APG分類:ショウガ科)の多年草。高さ3メートルに達し、根茎は横走し、偽茎は直立する。葉は線状披針(ひしん)形で長さ15~35センチメートル、幅4~7センチメートル、全縁で無毛。偽茎から離れて花茎を出し、球形の穂状花序をつける。蒴果(さくか)は堅く、直径約2センチメートルの長卵形、褐色で表面に刺(とげ)状突起があり、内部は3室に分かれて、各室に12~16個の種子が入っている。ベトナム、ミャンマービルマ)、タイ、インドネシアに分布し、栽培もされている。

 果皮を除いた種子塊を漢方では縮砂と称して薬用とする。種子はボルネオールカンファーなどの精油を含むため、つぶすと強いにおいを発し、かむと辛味苦味が感じられる。縮砂は健胃鎮痛、止嘔(しおう)、止瀉(ししゃ)剤として、消化不良、腹痛、嘔吐、下痢、食中毒などの治療に用いられる。

 中国では南部に分布し、また栽培もされているA. villosum Loureiroの種子を砂仁(しゃにん)または陽春砂(ようしゅんしゃ)と称して縮砂と同様に用いる。この植物は高さ1.5メートルでシュクシャより小さいが、形態的にはよく似ている。蒴果の中には各室に6~15個の種子をもち、香りと味はたいへんによい。

[長沢元夫 2019年6月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シュクシャ」の意味・わかりやすい解説

シュクシャ(縮砂)
シュクシャ
Hedychium coronarium; ginger lily

ショウガ科の多年草。ハナシュクシャともいう。ミャンマー,タイに産するが,日本には安政 (1854~60) 以前に輸入された。草丈約 2m,葉は無柄で,卵状披針形,先端は尾状に伸びる。花穂は地下茎から別に伸び,黄色の花をつける。花後,径 1cmぐらいの球状の 蒴果を結ぶ。種子はボルネオールなどの精油を含み,特異の芳香と強い味がある。漢方ではこの種子を健胃,整腸,消化剤として用いる。園芸界ではこの種類を単にジンジャーということが多いが,同属の植物にはニクイロシュクシャ H. carneum,キバナシュクシャ H. gardnerianumなど観賞用とされるものがいくつかある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

放射冷却

地表面や大気層が熱を放射して冷却する現象。赤外放射による冷却。大気や地球の絶対温度は約 200~300Kの範囲内にあり,波長 3~100μm,最大強度の波長 10μmの放射線を出して冷却する。赤外放射...

放射冷却の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android