日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジンジャー」の意味・わかりやすい解説
ジンジャー(香辛料)
じんじゃー
ginger
ショウガの地下茎を乾燥し、また粉末とした香辛料。水で洗った地下茎の皮をむき、天日で約8時間乾燥させてつくる。甘い芳香性、さわやかな刺激性のある香りと強い辛味が特徴で、香りの主成分はジンジベロール、辛味の主成分はジンゲロン、ショウガオールである。粉末香辛料はジンジャーブレッド(糖蜜(とうみつ)で甘味をつけジンジャーの香りをつけたパン)、クッキー、プディングなどのベーカリー製品やジンジャーエールなどの飲料に、西洋料理ではカレー粉やピクルス、レバー料理、肉料理に用いられ、他の香辛料となじみがよいので用途は広い。日本では昔から薑(はじかみ)として知られ、なまのものはしょうが(生姜)、生薑(しょうきょう)、乾燥したものは乾薑(かんきょう)、乾姜(かんきょう)とよばれている。しょうがの香味は甘・辛どちらにもあい、とくに生臭みの強いカツオ、サンマ、アジや豚肉、兎(うさぎ)肉、レバーなどのにおい消しに欠かせないもので、甘味とあわせた生姜糖やべっこう生姜も昔から食されている。日本料理では、若い芽しょうがは焼き魚の付け合せに、梅酢に漬けた紅しょうがはすしの彩りに、甘酢漬けのしょうがは握りずしの「がり」として、料理の重要な引き立て役である。また薬味として、せん切り、みじん切り、薄切り、すりおろしにしたものが使われる。中国では、しょうがのことを薑(チヤン)といい、中国料理の風味づけに料理法にあわせて多様に用いられている。
[齋藤 浩]
ジンジャー(ショウガ科の球根草)
じんじゃー
ginger
[学] Hedychium
ショウガ科(APG分類:ショウガ科)の半耐冬性球根草。和名はハナシュクシャ(花縮砂)。根茎状の地下茎が伸び、茎は太く、高さ1.5~2メートル。葉はカンナに似て長さ30~50センチメートル、幅5~12センチメートル、葉面は滑らかである。茎頂に長さ15~30センチメートルの穂状または密穂花序をつくり、芳香の強い花をやや傾けて密集する。花色は白、黄、紅、桃色などで、細長い筒部と開出した裂片があり、唇弁は品種により大小がある。東アジア原産で、ニューギニア、マダガスカルなどに約40種分布する。夏期の花壇、切り花用に栽培する。
[吉次千敏 2019年6月18日]
栽培
シロバナシュクシャH. coronarium Koen.とキバナシュクシャH. gardnerianum Wall.がおもな栽培品種で、寒地では11月初め株を掘り上げて貯蔵、越冬させる。暖地では、5~6年植えたまま、冬期に地表面を覆って越冬させたほうが開花数が多い。乾燥に弱いので、適当な湿気のある砂質壌土で育てる。肥料は多めがよい。
[吉次千敏 2019年6月18日]