ハナダイコン(読み)はなだいこん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハナダイコン」の意味・わかりやすい解説

ハナダイコン
はなだいこん / 花大根
[学] Hesperis matronalis L.

アブラナ科(APG分類:アブラナ科)の多年草。ハナスズシロともいう。ヨーロッパ、アジア原産。高さ30~90センチメートル。葉は互生し、卵形または長楕円(ちょうだえん)形。5~6月、茎頂に総状花序をつくり、薄紫色で径2センチメートルの4弁花を開く。夕刻芳香を放つ。矮性(わいせい)種、八重咲き種や、白、紫色の花の品種もある。花壇、切り花用として栽培される。

[神田敬二 2020年12月11日]

 明治時代に渡来した園芸植物であるが、1939年(昭和14)に中国から導入され、一部で野生化しているムラサキハナナオオアラセイトウショカツサイ)もしばしばハナダイコンの名でよばれ、混乱がみられる。ハナダイコンは花に芳香があるが、ムラサキハナナはそれを欠き、花期は1、2か月早い4月ころである。

[湯浅浩史 2020年12月11日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハナダイコン」の意味・わかりやすい解説

ハナダイコン(花大根)
ハナダイコン

通常ハナダイコンの名で呼ばれる園芸植物は2種類ある。どちらも外国産のアブラナ科の草本である。 (1) Orychophragmus violaceus ショカツサイ (諸葛菜) ,オオアラセイトウなどの別名もある。中国大陸原産の一年草で,高さ 30~60cmとなり,茎,葉とも無毛平滑で葉に柄はなく,茎葉の基部は翼となって茎を抱き,耳状の突出物がある。春に,紫色の美しい十字花をつけ,花の径 3cmほどになる。芳香はないが花色が鮮かで,性質も強くこぼれ種子から毎年発芽するので,特に第2次世界大戦後,東京などの都会地を中心に広がった。 (2) Hesperis matronalis ハナスズシロともいう。西アジアからヨーロッパの原産の多年草。茎は高さ 30~90cm,下向きの毛を密生する。葉は互生し,楕円形ないし披針形,とがった波状の鋸歯があり,両面に毛を密生する。5~6月,茎頂に総状花序をつくり,多数の紫色または淡紫色の十字花をつける。香気が強い。白色,黄色,紅色,八重咲きなどの園芸品種もある。

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