ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「はやにえ」の意味・わかりやすい解説
はやにえ
prey-impaling behavior
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モズ類には、とらえた食物を小枝や刺(とげ)に突き刺したり、ひっかけたままにしておく習性があり、それら小枝などに放置されたものが「モズのはやにえ」とよばれる。はやにえにされるものとしては、昆虫、トカゲ、カエル、魚、小哺乳(ほにゅう)類、小鳥などがある。この習性は1年を通じてみられ、とくに春から秋にかけてよくみられる。はやにえにされたものの一部、あるいは多くは、そのあとに食べられる。ただし、この習性が食物の貯蔵を目的にして発達してきたものかどうかは明らかでない。モズ類には本来、獲物を小枝や刺などに突き刺して食べる習性があり、一方はやにえは、一時に多くの食物が得られたときに数多く立てられる傾向がある。このことからすると、突き刺してはみたが食べ切れないで残ったものがはやにえであるという可能性もある。また、縄張り(テリトリー)の境界を示すものとしても利用されているという説がある。モズがはやにえを立てる習性は、日本では古くから知られ、「鵙の草久吉(もずのくさぐき)」「百舌鳥の早贄(もずのはやにえ)」「伯労の磔刑(もずのはりつけ)」などと古書や歌に登場している。
[樋口広芳]
…大型昆虫類,カエル,トカゲのほかに,小鳥や小型のネズミ類までとり,獲物は脚でおさえるか,あるいはとがった枝に突きさしてから,くちばしで引き裂いて食べる。モズ類は,〈はやにえ〉をつくることでも有名である。はやにえは,春から秋にかけての食物の豊富な時期に,木のとげ,枝先などの鋭くとがったものに,とらえた獲物を突きさし,そのまま食べずに残されたもので,一部は冬の間に食べられることが知られている。…
※「はやにえ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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