翻訳|barbed wire
2本の針金をより合わせ,短い間隔でとげを植えたもの。鉄条網ともいう。アメリカ西部において農地,牧場の囲い用に考案され,1873年,イリノイ州の農民グリデンJoseph F.Gliddenが発明したものが実用化,大量生産の先端を切った。グレート・プレーンズ地方では樹木が少なく生垣も満足なものが作れず,東部のように石や木材も利用できなかったので,農民は畑を囲う材料を入手できなかった。放牧されている家畜から農作物を守ることが困難であった農民は有刺鉄線を大いに歓迎し,1880年にはグリデン工場は200台の自動製造機をそなえ,年間8000万ポンドの鉄線を売った。有刺鉄線は牛を傷つけることもあったので,放牧業者に敵視されたが,結局,家畜をも安上がりに囲うことができるので,放飼いはすたれ,品種改良にも貢献した。農民によるグレート・プレーンズの開拓を可能にしたのは有刺鉄線であったとする歴史家もいる。20世紀にはいると,戦時の障害物としても利用されはじめた。
執筆者:岡田 泰男
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…19世紀後半欧化主義者が政権に就くと,ガウチョは厳しく弾圧され,ヨーロッパ系移民の流入に伴うパンパの農業の発展は,彼らの生活の場をしだいに奪っていった。さらに追打ちをかけたのが有刺鉄線の普及だった。これにより牧場(エスタンシア)の境界が確定され,牛の移動範囲が狭まったため,ガウチョが数週間もエスタンシアの牛群を率いてパンパ内を放浪することは不可能となってしまった。…
※「有刺鉄線」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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