偶蹄目ウシ科の哺乳類。家畜のウシに似て,それよりも長く湾曲した角を,雌雄とももつ大型のアンテロープ。四肢は細い。前肢が後肢よりも長いため,肩が腰よりも高い。時速70~80kmの高速で走ることができる。体色は茶色ないし灰褐色。尾には長い黒色の房毛(ふさげ)がある。体長150~245cm,肩高110~150cm,尾長30~70cm,体重100~225kg。角は長さ25~38cmある。タンザニア,ローデシアなどアフリカ中部から南アフリカにかけてのサバンナにすみ,朝方と夕方,おもに草を食べる。暑い日中は日陰で休む。集合性が強く,ふつう300頭くらいまで,ときに1万頭に達するさまざまな構成の群れをつくる。しばしばアリ塚などの高みにたって見張り役をする個体がある。雌は年に1回,妊娠期間214~242日で,1子を生む。寿命は11~20年。狩猟と開発のため近年著しく個体数が減少しており,かつてモロッコ,エジプトなどの北アフリカにすんだものは絶滅した。
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目ウシ科ハーテビースト属に含まれる動物の総称。この属Alcelaphusのアンテロープはアフリカに分布し、開けた草原や低木林が点在する草原に生息する。肩高1.2~1.5メートル、体重160~180キログラム。角(つの)は雌雄にあり、長さ25~38センチメートルで、竪琴(たてごと)形である。体は砂色から赤栗(あかぐり)色まで変化に富む。普通、4~30頭の群れで生活し、ヌーやシマウマと混合群をつくることもある。食物はほとんどが草で、丈の低い草や若草を好む。採食中は雄か老雌が見張りに立つことも多い。妊娠期間は約8か月で、アフリカの東部では4~5月に、南部では7~8月に1産1子を産む。現在では絶滅したアフリカ北部のキタハーテビーストA. buselaphus、ケニアとタンザニアのコンゴニハーテビーストA. cokei、アフリカ南部のカーマハーテビーストA. caama、アフリカ南東部のコンジハーテビーストA. lichtensteiniなどがあるが、学者によって2~8種に分けられている。
[今泉忠明]
…体は黄褐色,栗色,灰色などあり,白斑は左右の目の間にときどきみられる。すべてアフリカ産で,300~1000頭にもなる群れをつくるハーテビーストAlcelaphus buselaphus,独特の長い顔と短く太い角をもつコンジハーテビーストA.lichtensteini,アリ塚などに登って敵を見張る習性をもつトピDamaliscus lunatus,大群で季節的移動をするヌーConnochaetes taurinusなどの3属7種がある。(3)オリックス亜科Oryginae 大型で雌雄とも長い槍状,サーベル状,あるいは栓抜き状の角をもち,顔に腺はなく,尾は長く先に房毛がある。…
…森林ややぶにすむブッシュバックTragelaphus scriptus,体重の割りに身軽にジャンプするイランドT.(Taurotragus) oryx,インドの平原にすむニルガイBoselaphus tragocamelus,雄には角が4本もあるヨツヅノレイヨウTetracerus quadricornisなど3属11種がある。(2)ハーテビースト亜科Alcelaphinae 大型で尾が長く,先端に房毛(ふさげ)がある。眼下腺と前足に蹄間腺が発達する。…
※「ハーテビースト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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