バイオマスプラスチックの動向(読み)ばいおますぷらすちっくのどうこう

知恵蔵 の解説

バイオマスプラスチックの動向

2002年に日本政府はバイオテクノロジーを推進する「バイオテクノロジー戦略大綱」と、脱石油・循環型社会を目指す「バイオマス・ニッポン総合戦略」を策定した。この両者によってバイオマスの研究開発が進んでいる。その成果の1つがバイオマスプラスチックだ。 プラスチック原料には、石油系とバイオマス系がある。また製品は、微生物が分解できるかどうかで、生分解性のものと非生分解性のものに分かれる。各プラスチック製品は、この4要素の組み合わせの特徴をもつ。石油系で非生分解性、バイオマス系で生分解性の製品だけでなく、石油系で生分解性、バイオマス系で非生分解性の製品もある。1990年代半ばに生分解性プラスチックの愛称として付けられた「グリーンプラ」は、石油系もバイオマス系も問わないものだ。 生分解性プラスチックは、微生物が分解できるといいつつ、実際にはコンポスト施設などの好条件下でないと、十分には分解されない。野原にポイ捨てされたプラスチックが次第に分解され、消えてしまう、というふうにはならない。生分解性への期待がそがれる一方で、カーボンニュートラル、バイオマス系が強調されるようになってきた。現在の主役ポリ乳酸。ただし、素材はカーボン・ニュートラルであっても、製品の製造過程では二酸化炭素が排出されるし、米国産のトウモロコシの種子でんぷんを原料としているため、国産バイオマスの利用ではない。

(川口啓明 科学ジャーナリスト / 菊地昌子 科学ジャーナリスト / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android