改訂新版 世界大百科事典 「バウヒニア」の意味・わかりやすい解説
バウヒニア
Bauhinia
マメ科のハカマカズラ属Bauhiniaの花木を一般にバウヒニアと総称して呼ぶ。ハカマカズラ属は日本にはハカマカズラB.japonica Maxim.1種を産するだけだが,熱帯圏には多くの種があり,200種を越える。5弁からなる美しい花をつける種が多く,熱帯圏の重要な花木となっている。木本または木本性つる植物で,葉は先端部で2裂する特徴的な形になり,夜間は2裂片が対合して閉じる性質がある。
モクワンジュB.acuminata L.(一名ソシンカ)は高さ数mの常緑低木で,花径5~8cmの白色の5弁花を枝先につけ,花が美しい。おしべは10本あるが,1本だけが長く他の9本は短くて合着する。東南アジア地域原産で,熱帯では花木とされる。ムラサキモクワンジュB.purpurea L.(一名ムラサキソシンカ)は,花弁が披針形で,花色が白色から濃紫色までいろいろある。またキバナモクワンジュB.tomentosa L.(英名St.Thomas tree)は,倒卵形で黄色の花弁をもつ花をつける。繁殖は通常実生によるが,挿木,取木もできる。
執筆者:古里 和夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報