知能が劣り愚かなこと、またそのさまや人をいう。「馬鹿」は当て字で、梵語(ぼんご)で「痴」を意味するmoha(慕何)や「無知」の意のmahallaka(摩訶羅)の転というが、破家(家財を破るほど愚かな意)の転義ともいい、語源については諸説がある。愚かなことの意から、取るに足りないつまらぬことや常軌を逸したことなどもいい、「ばか騒ぎ」「ばか力」などのように、接頭語的に名詞の上につけて、程度の甚だしいことを表す。「莫迦」「破家」などの字もあてるが、一般には「馬鹿」をあてるため、中国の史書『史記』の「始皇本紀」に伝える、秦(しん)の始皇帝の死後、丞相(じょうしょう)となった宦官(かんがん)の趙高(ちょうこう)がその権勢を試そうとして、自分の擁立した二世皇帝に鹿(しか)を献じて馬だと言い張り、群臣はその威を恐れてほとんど反対しなかったという故事が、この語の語源であるとする俗説も生まれた。
[宇田敏彦]
…《日葡辞書》のオコの者には〈気楽な,屈託のない,常軌を逸した,行儀の悪い,横柄な人〉と解説されている。オコが道化的な意味を明確にする一方で,このような含意をともなわない愚鈍を意味する〈バカ〉という語が新しく作り出された。バカの用例としては《神道集》《太平記》にあるものが早い例である。…
※「ばか」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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