1994年に登録、2010年に登録内容が変更された世界遺産(文化遺産)で、グルジア西部、イメレティ地方の古都クタイシにある中世キリスト教の遺構。その代表といえるバグラティ(バグラチ)大聖堂は、クタイシのウキメリオニの丘の上にあり、グルジアの中世建築の傑作とされている。建造はグルジア王バグラト3世の治世下の11世紀初頭で、大聖堂名もこの王の名前に由来する。大聖堂は1691年に、この地に侵入したオスマン帝国の軍勢の砲撃で、外壁を残し崩壊する被害を受け、放棄された。その再建と保存は1952年に始まり、その努力が世界遺産の認定につながり、2001年にはグルジア正教会の聖堂に復帰し、クタイシ市のシンボルになった。一方、ゲラティ修道院は、グルジア王ダヴィド4世により、バグラティ大聖堂のおよそ100年後に建設が始まった。クタイシ郊外のイメレティアの丘にあり、1510年にオスマン帝国により破壊され、後に修復された、中世グルジアを代表する建造物の一つである。この修道院には付属王立学校がつくられた。また、この修道院の聖母マリア聖堂には、天井のモザイク画やフレスコの技法による壁画が残されており、その文化的な価値が高く評価されている。2010年、再建計画を理由として危機遺産リストに登録された。◇英名はBagrati Cathedral and Gelati Monastery