改訂新版 世界大百科事典 「バジリカータ」の意味・わかりやすい解説
バジリカータ[州]
Basilicata
イタリア南部の州。面積9988km2,人口59万6546(2004)。ポテンツァとマテラの二つの県からなり,州都はポテンツァ。全体に山がちで,平野はイオニア海沿岸地域にあり,全州面積のわずか8%を占めるにすぎない。西部はアペニノ山脈の一部,東部はおもに石灰岩質の丘陵地域で,浸食をうけやすく,過去の乱伐も手伝って,しばしば地すべりが起こっている。こうした自然条件に加えて,かつては大土地所有制に起因する低い農業生産性,交通の未整備などがこの地方の発展を妨げ,遅れた南部のなかでもとくに後進的地域とされてきた。第2次大戦後の南部開発政策により,山岳地域の植林,平野部での集約的な蔬菜・果樹栽培,灌漑化促進などの努力がなされている。工業では,州内のメタン・ガス田発見を契機に大企業が誘致され,重化学工業地域がつくられつつあるが,全体としては伝統的手工業がまだ支配的である。
→メッツォジョルノ
執筆者:萩原 愛一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報