バーグ石窟(読み)バーグせっくつ(英語表記)Bāgh

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バーグ石窟」の意味・わかりやすい解説

バーグ石窟
バーグせっくつ
Bāgh Caves

インド中部,インドール市西方のナルマダ川沿いにある石窟寺院。9窟から成り,うち5窟が仏教窟,3窟がヒンドゥー教窟,1窟がジャイナ教窟。造営期は最古のものが5世紀頃で,だいたい6~9世紀。砂岩質の崖に掘られているため保存が悪く,特に第7~9窟は崩壊が激しい。9窟すべてビハーラ (僧房) 窟で,チャイティヤ (祠堂) 窟はないが,第2および第4窟が奥壁中央部に祠室を設けてストゥーパ (仏塔) を安置している点が注目される。また,第4~5窟は連結しており,その前面廊下の後壁上部に連続的に描かれた6場面の壁画は,損傷しており,6~7世紀頃の作と思われ,様式上,アジャンタ壁画後期のものと類似する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バーグ石窟」の意味・わかりやすい解説

バーグ石窟
ばーぐせっくつ
Bāgh

インド中部、マディヤ・プラデシュ州インドール市の西約150キロメートルにある仏教石窟寺院。ビンディヤ山系の南斜面に掘られた九つのビハーラ(僧院)窟から構成される。このうち、第四窟から第五窟へと続く正面廊後壁の上部約15メートルにわたって、仏教説話主題とする傷みの激しい彩画が残り、また第四窟内の壁面にも装飾文様の一部分が存する。いずれも優れたテンペラ画の技法を伝え、様式的にはアジャンタ後期窟の壁画のそれに近い。しかし、チャイティヤ(祠堂(しどう))窟をまったく有さず、第2、第4両窟の奥壁中央にストゥーパ(仏塔)を安置する珍しい窟の構成は、この石窟の開掘年代が6世紀をさかのぼりえないことを示唆する。

[秋山光文]

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