日本大百科全書(ニッポニカ) 「バーチェット」の意味・わかりやすい解説
バーチェット
ばーちぇっと
Wilfred G. Burchett
(1911―1983)
オーストラリアの国際的ジャーナリスト。貧しい家庭に生まれ、中学校を中退し、働きながら独学する。1936年渡欧、第二次世界大戦中は『ロンドン・デーリー・エクスプレス』紙の特派員として働く。1945年8月末、外国人記者として初めて原爆投下後の広島を取材し、「ノー・モア・ヒロシマズ」のことばとともに、その惨状を世界に伝えた。その後フリーとなり、中国革命、朝鮮戦争、ベトナム戦争などを共産側から取材。引き続いて、ポルトガル、アンゴラ、アフガニスタンと、革命・紛争を精力的に報道し続けた。『纏足(てんそく)を解いた中国』『十七度線の北』『ポルトガルの革命』『立ち上がる南部アフリカ』、自伝『広島・板門店・ハノイ』など著書多数。20冊以上が邦訳、出版されている。
[鈴木ケイ]
『新庄哲夫・石坂欣二訳『広島・板門店・ハノイ』(1972・河出書房新社)』▽『吉川勇一訳『立ち上がる南部アフリカ』全2巻(1978・サイマル出版会)』▽『中野好夫訳『十七度線の北』上下(岩波新書)』