コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

纏足 てんそくchan-zu; ch`an-tsu

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

纏足
てんそく
chan-zu; ch`an-tsu

中国,唐末,五代の頃に始り清末に廃止された,女性の足を小さくする独特の風習。纏とは「縛る」の意。女児が4~5歳になったときに足の親指以外の4指を足の裏側に曲げて布帛で強く縛り,発育を抑えて小足を保たせた風習。このため足の甲が高くなり,弓状を示したので弓足の名もある。宋代以後特に盛んとなり,小足をもって美を競った観があるが,歩行は不安定で行動の自由も奪われた。一般に華北地方で多く行われ,華南地方では少なかった。 20世紀に入り,旧習打破の動きと婦人の自覚により急速にすたれた。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報

デジタル大辞泉の解説

てん‐そく【×纏足】

中国で、女性の足を大きくしないため、子供のときから親指を除く足指を裏側に曲げて布で固く縛り、発育をおさえた風習。末ごろに始まり代から流行したが、末に廃止運動が起こり、清滅亡後消滅した。

出典|小学館デジタル大辞泉について | 情報 凡例

百科事典マイペディアの解説

纏足【てんそく】

幼時より足首から下の部分を布で緊縛して成長を妨げ小足とした中国婦人の風習。またそのためにできた不自然な足をいう。〈纏〉はまきつける,の意。五代宋初ころから流行,明のころ最盛となったが清末から天足(自然の足)運動が起こり漸廃。
→関連項目化粧

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて | 情報

世界大百科事典 第2版の解説

てんそく【纏足 chán zú】

女性の足を人為的に小さくする旧中国の風習。纏脚,小脚,裹脚(かきやく),裹足ともいう。〈纏〉はまきつける,〈裹〉は包むの意。3~4歳から足の親指を除く4指を足底に折り曲げて布できつくしばったうえ,小さい靴をはかせて発育をさまたげ,さらに7~8歳で足裏を強く屈曲して脱臼させてしばり,小さいままにする。甲が弓形に盛り上がるので〈弓足〉ともいい,専用の布靴〈弓鞋(きゆうあい)〉をはいた(図)。〈三寸金蓮〉の異名があるように,踵(かかと)から爪先まで約10cmが理想とされた。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

纏足
てんそく

女性に対する身体変工の一種で、中国独特の風習。普通3、4歳の女児の足を包帯状の布(おもに木綿)でしっかりと縛り、足の成長を止めて、その形を不自然にする。最初横巻きにして足を細長くし、次に縦に巻き、第2指以下を足の裏側へ折り曲げて先のとがった菱形(ひしがた)にする。足の大きさは3~4寸(10~13センチメートル)ぐらいにとどまり、5~6歳ぐらいには形の基礎もできるので、以後布を取り去り、纏足用の鞋(くつ)を履かせる。幼少のころに行うのは比較的容易であるが、やや長じて行うと炎症や化膿(かのう)をおこし非常な苦痛を伴い、また繊細な形を得るのがむずかしいという。纏足は、金蓮(きんれん)や春笋(しゅんじゅん)(形から春の竹の子の意)ともよばれ、その形はまた粽(ちまき)に似るほどよいといわれ、最初に包帯を巻く日に粽を食べさせる風習があった。起源については、殷(いん)の紂王(ちゅうおう)の妃(きさき)妲己(だっき)が狐(きつね)の変化(へんげ)で、足だけが人でないのを隠すために布で足を包み、これを宮中の婦人に倣わせたなどの伝説があるが、実際には宋(そう)代以後に流行したものといわれる。それ以前に歌舞を事とする女性の間に行われ、また唐代にみられる女性の足への嗜好(しこう)が背景にあったと考えられる。纏足の効用として、骨が細くなる結果、女性の体全体が繊細で華奢(きゃしゃ)になる美的効果があげられ、直立姿勢の不安定から、足のかかとを固定してつまさきを外に開く形をとることになる。この歩き方は、アヒルの歩くような姿であり、それが男性に喜ばれてきたという。性器官の特殊の発達を促すとの説もあり、また婦女の貞節を守るため拘束する目的もいわれた。かつては纏足をしないと嫁入りができず、男性が魅力を感じないといわれ、この身体変工の風習が美醜の感覚に深く根を下ろしていた。華北の地では節句に、賽足(さいそく)(脚)会といって、纏足の女性が家の門口に腰をかけて、その足を通る人に見てもらう風習があり、良縁を得る機会であった。纏足の風習は、少数民族にみられず、漢民族のなかでもあまり行われない地方もある。清(しん)代にしばしば禁令が出されたがあまり効果なく、その末期になって民間から廃止の運動がおこり、今日この風習は滅びている。[田村克己]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

世界大百科事典内の纏足の言及

【足∥肢】より

…ユングが夢の中の足は繁殖と男性性器を象徴するというのも同じ考えである。かつての中国にあった纏足(てんそく)は,4,5歳の童女の足に横に包帯を巻いて細くし,次に親指を除く足指を底屈させて堅く縦に包帯を巻いて締めつけ,先のとがった小さな足とした。発育を抑えられた足で歩くには臀部以下の下肢の安定を求める揺動が必要で,それが当時の女性美の基準にかなっていた。…

【辛亥革命】より

… 革命の成果として誕生した民国では,人々は自由を享受し,未来への希望にもえていた。政党の乱立,新聞の族生はその社会的現象であり,辮髪の剪截,纏足(てんそく)の解放はその個人的表現だった。武昌蜂起1周年に際し,北京では天壇が一般開放されたが,これほど帝国から民国への移行を実感させることはなかったろう。…

※「纏足」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

纏足の関連情報