パイプスチル(読み)ぱいぷすちる(その他表記)pipe still

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パイプスチル」の意味・わかりやすい解説

パイプスチル
ぱいぷすちる
pipe still

石油精製工業における蒸留や分解工程で、原料油を加熱するために用いる炉。耐火れんが製炉の中に直径100ミリメートルくらいのパイプを水平に数十本並べて連結し、全体をバーナーで加熱する。パイプの中を原料油が高速で通過する間に加熱される仕組みである。この方式は、大量の原料油が迅速かつ均一に加熱され、効率が高く、連続運転や、温度圧力制御に適するなど多くの長所があるため、石油精製設備には欠くことのできない加熱装置である。なお、石油精製工場では蒸留塔などを含めた蒸留装置全部をパイプスチルと称することが多い。

[松田治和]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「パイプスチル」の解説

パイプスチル
パイプスチル
pipe still

石油精製に主として使われ,燃焼室の炎からの放射および対流伝熱により加熱する管式加熱炉のこと.加熱管内に油を大きな速度強制流動させることができ,複雑なクラッキング反応が起こる場合にも使用できる.加熱容量が大きく,熱効率も高い.燃料には,重油ガスなどが使われている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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