日本大百科全書(ニッポニカ) 「パラダイスフィッシュ」の意味・わかりやすい解説
パラダイスフィッシュ
ぱらだいすふぃっしゅ
paradisefish
[学] Macropodus opercularis
硬骨魚綱スズキ目ベロンティ科に属する淡水魚。和名をタイワンキンギョ(またはゴクラクウオ)という。中国中部からベトナム中部、台湾、海南島に原産する。琉球(りゅうきゅう)諸島にも生息するが、移植に由来するものと考えられる。グーラミー類やベタ(トウギョ)と同科であり、同属にチョウセンブナがある。熱帯魚としてはヨーロッパやアメリカで飼育された最初の魚で、ヨーロッパには1869年、アメリカには1876年に紹介された。日本でももっとも古い熱帯魚の一つ。全長9センチメートルどまりの小形魚で、雄は胸びれを除く各ひれの末端の鰭条(きじょう)が長く伸び、赤と青の美しい婚姻色が出る。上鰓器官(じょうさいきかん)(迷器(めいき)、ラビリンス)で空気呼吸を行い、かなりの低温に耐えるじょうぶな魚であるが、とくに雄は闘争性が強く他種との混養には向かない。水面に泡巣をつくって数百個の卵を産み、雄が巣を守る。ホワイトパラダイスとよぶアルビノ品種もあり、一般に飼育されている。
[多紀保彦]