パリトキシン(英語表記)palytoxin

デジタル大辞泉 「パリトキシン」の意味・読み・例文・類語

パリトキシン(palytoxin)

海産毒の一つ渦鞭毛藻類うずべんもうそうるいが産生し、食物連鎖を通じてアオブダイハコフグウミスズメソウシハギなどの肝臓筋肉に蓄積する。食中毒原因となり、横紋筋融解症による筋肉痛痙攣けいれん呼吸困難などを引き起こす。化学式C129H223N3O54

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知恵蔵mini 「パリトキシン」の解説

パリトキシン

魚類などの体内に蓄積されている自然毒で、食べると食中毒の原因となる。その毒性はフグ毒「テトロドトキシン」の70倍とも言われている。日本でパリトキシンによる中毒原因となる有毒種は、ブダイ科アオブダイ属のアオブダイ、ハコフグ科ハコフグ属のハコフグ、カワハギ科ソウシハギなどである。その他、ブダイ科ブダイ属のブダイ、ハコフグ科コンゴウフグ属のウミスズメ、ハタ科マハタ属の魚類もパリトキシンによる中毒の原因魚の疑いがある。これらのパリトキシンを含有する魚類を誤って食べた場合、筋肉痛、呼吸困難、けいれんなどを起こし、重篤な場合は死亡することもある。厚労省によると、1953~2012年の間に少なくとも39件発生し、患者総数は121名、うち7名が死亡している。14年8月4日、兵庫県神戸市の兵庫突堤でソウシハギが発見され、関係当局が注意喚起をしている。ソウシハギは亜熱帯海域に生息する魚だが、近年の温暖化の影響で、黒潮対馬海流に乗って日本各地に分布域を広げており、今では、神奈川県や島根県を始め、九州・四国・本州など日本各地で目撃されている。

(2014-8-8)

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化学辞典 第2版 「パリトキシン」の解説

パリトキシン
パリトキシン
palytoxin

C129H223N3O54(2680.18).亜熱帯産の腔腸動物イワスナギンチャクPalythoaから得られる水溶性で非ペプチド性の猛毒.二次代謝産物中最大の分子量(図)と最強の毒性を有する.細胞内への Na流入を促進し,脱分極を引き起こすと考えられている.抗腫瘍性,発がんプロモーターなどの生物活性も示す.6種類の同族体が知られている.LD50 25 ng/kg(ウサギ静注),62.5 ng/kg(カニ).[CAS 77734-91-9]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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