日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒゲナデシコ」の意味・わかりやすい解説
ヒゲナデシコ
ひげなでしこ / 鬚撫子
[学] Dianthus barbatus L.
ナデシコ科(APG分類:ナデシコ科)。ヨーロッパ原産の多年草であるが、園芸上は秋または春播(ま)き一年草として取り扱う。花茎の先端に開く小花の萼(がく)、包葉が長く、ひげのようにみえるので名がついた。花が美しいのでビジョナデシコ(美女撫子)、また外来種であることからアメリカナデシコともいう。切り花や花壇用として古くから栽培される。切り花用には高性種、花壇用には矮性(わいせい)種が栽培される。切り花用品種には高さ50~60センチメートルで濃赤色や白色の石井早生(わせ)、旭光(きょっこう)などがある。花壇用品種には高さ約20センチメートルで、紅、桃、白、紫色や蛇の目などのインディアンカーペット、緋赤(ひせき)色花のプリンスウィリアムなどがある。栽培は容易で、耐寒性もあるが、日当り、通風のよい場所を好む。播種(はしゅ)は秋播きで9月上旬から中旬、春播きで3~4月中旬ころ、保温のできるフレームや室内で行う。降霜の多い地方では、霜よけをすると順調に生育し、開花も早められる。
[金子勝巳 2021年1月21日]