日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナデシコ科」の意味・わかりやすい解説
ナデシコ科
なでしこか
[学] Caryophyllaceae
双子葉植物、離弁花類。多くは草本、まれに低木状となる。葉はほとんどが対生し、縁(へり)は切れ込まない。花は5数性で放射相称が基本。子房は1室、胚珠(はいしゅ)は中軸胎座につくか、まれに1個である。果実は普通蒴果(さくか)、まれに裂開しない。温帯から寒帯を中心に世界に約80属2000種、日本では約16属70種が知られる。通常3亜科に分けられる。托葉(たくよう)のあるウシオツメクサ亜科Spergularioideaeは日本にはヤンバルハコベ属Drymaria、オオツメクサ属Spergulaなど、少数が分布する。托葉がなく萼片(がくへん)が離生するハコベ亜科Alsinoideaeは日本ではハコベ属Stellaria、ミミナグサ属Cerastium、ツメクサ属Saginaなど、雑草としてごく普通にみられるものも多い。托葉がなく、萼が筒状となり、子房の基部に細い柄があるマンテマ亜科Silenoideaeにはナデシコ属Dianthus、センノウ属Lychnisなど、花の美しい属があり、観賞用としてカーネーション、カスミソウなどが親しまれている。
[三木栄二 2021年1月21日]
APG分類でもナデシコ科とされる。センノウ属やナンバンハコベ属Cucubalusはマンテマ属Sileneに含まれるようになった。世界に約90属3000種、日本には12属70種がある。
[編集部 2021年1月21日]