ヨルダンのイェリコ北方約2kmにあるウマイヤ朝の城砦風宮殿址(一部未完成)。〈ヒシャーム宮殿〉は通称で,ヒルバ・アルマフジャルKhirba al-Mafjarとも呼ばれる。ヒシャームの治世(724-743)にその甥ワリードWalīd2世によって建造されたと考えられている。1935-48年の発掘によりその全貌が明らかにされた。遺構は2階建ての宮殿,多柱式モスク,大浴場などから構成されており,とくに舗床モザイク(文様の大半は幾何学文とアラベスク),スタッコ(人面,葡萄唐草,アカンサス,パルメットの高浮彫,等身大のカリフ像,踊り子像の丸彫),石彫,壁画(フレスコ,テンペラ)など,初期イスラム時代の最も多彩で洗練された建築装飾が重要である。
執筆者:杉村 棟
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