改訂新版 世界大百科事典 「ヒメヨコバイ」の意味・わかりやすい解説
ヒメヨコバイ (姫横這)
半翅目ヒメヨコバイ科Cicadellidaeの昆虫の総称。葉上で生活する小さなヨコバイ類で,ほとんどが体長4mm以下である。種類が多く,日本から100種近くが知られるが,よく似たものが多く,同定はきわめてむずかしい。よく見ると,色彩や斑紋に美しい種類が多い。葉面から吸汁して,淡色の小さな斑点を残す。多発生するときには,落葉させることもある。チャの害虫のチャノミドリヒメヨコバイは古くからチャノウンカと呼ばれ著名である。全体淡緑色で体長が約3mm,年間に5~8回も発生し,成虫で越冬する。とくにチャの芽を加害するので被害が大きい。バラに寄生するヒメヨコバイは数種あるが,なかでもバラヒメヨコバイは世界共通種として知られる。大発生時にはバラに壊滅的な被害を与える。フタテンヒメヨコバイはブドウの葉を加害する。カンキツヒメヨコバイはミカン類の果皮を吸汁して,着色を遅らせ,商品価値を損なう。
執筆者:立川 周二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報